2019年04月07日

北海道の中華饅頭が大きい理由。

北海道の中華饅頭が大きい理由。

 北海道の「中華饅頭」と、福岡県柳川市の「千代香」の比較。

 上から

 〇中華まんじゅう 餅のさかき屋(帯広市)
  長さ17.4cm 幅6.1cm 厚さ4.0cm
  197g こし餡 320円(込)
 〇中華まんじゅう 手づくり菓子工房いまむら(広尾町)
  長さ16.7cm 幅5.4cm 厚さ4.0cm
  144g こし餡 270円(込)
 〇中華饅頭 三栄製菓(札幌市)
  長さ13.4cm 幅4.9cm 厚さ3.0cm
   84g こし餡 138円(込)
 〇千代香 御菓子司廣松宝来堂
  長さ7.9cm 幅4.1cm 厚さ2.5cm
   36g しろ餡 60円(抜)

 餅のさかき屋と廣松宝来堂では5倍以上の重量差。

 なぜこんなに違うのか、考えてみました。


 江戸時代の菓子製法書にも掲載されているいわゆる「中華饅頭」は、

 「千代香」「千代華」「中花」「中華饅頭」と呼び名が少しずつ違いますが、

 福岡県柳川市、

 長崎県諫早市、島原市、南島原市、長崎市、大村市、西海市、平戸市、松浦市、

 新潟県上越市、長岡市、三条市、新潟市、阿賀野市、胎内市、村上市、

 山形県酒田市、

 秋田県能代市と

 日本海沿いの港町にその存在を確認できます。

 北海道では函館市、小樽市、札幌市、石狩市、稚内市、苫小牧市、

 室蘭市、釧路市、帯広市と海沿いだけでなく内陸部にも存在しています。


 確認できる港町から推測される伝播経路は、北前船と呼ばれた西回り航路。

 有明海の船が酒田まで行った記録があるようなので、

 この影響が大きいのではないかと思われます。


  ※千寿の楽しい歴史


 ただ1か所、内陸の長野県須坂市にも、

 秘密のケンミンショーで紹介された「中華」があるのですが、

 上越市と結ばれた北国街道、松代道で伝わったのではないかと。


  ※有限会社盛進堂製菓舗(長野県公式サイト)
   
https://www.pref.nagano.lg.jp/.../documents/pr-141.pdf


 これらの中華饅頭は、

 皮を円形に焼いたものと、楕円形に焼いたものに大別され、

 福岡県と北海道は円形優位、その他は楕円形優位のようです。

北海道の中華饅頭が大きい理由。

 左:梅花堂越山「千代香」 皮を円形に焼くのでたたむと三日月型
 右:菓匠佐藤饅頭「千代香」 皮は楕円形に焼くのでたたむと馬蹄形



 皮ではさむ餡は、福岡県と新潟県で白餡が見られ、他はほぼこし餡です。

 また、北海道とその他の地域では大きさが異なり、

 まだ九州と北海道の比較のみではありますが、

 円形のものが20~40g、楕円形のものが40~50gであるのに対し、

 北海道は100g越えが珍しくなく、200g近いものもありました。


 この大きさの違いは、北海道において中華饅頭が

 葬式饅頭と位置付けられているとのことに理由がありそうです。

 中華饅頭は熱した銅板で生地を焼き、あんをのせて巻くだけで出来、

 他の饅頭に比べて手間がかかりません。

 お葬式で急にしかも大量に必要となるため、

 手間のかからない中華饅頭が重宝されたようです。

 ただ、九州の千代香のように1個40gで作っていては数が必要となり、

 やっぱり手間がかかります。

 そのため、徐々に大きくなっていったのではないでしょうか。


  ※中華饅頭のフシギを訪ねて


 とりあえず、今のところの「中華饅頭」に関する考察はここまで。

 今後はなんとかして新潟県~秋田県の中華饅頭を実食するとともに、

 伝搬経路を解明していきたいと思います。

 といっても、何の手がかりもないので、途方に暮れてますけどねぇw


同じカテゴリー(和菓子とお茶)の記事画像
八百先生の講義を聴く。
御菓子司小鹿の流氷まんじゅう。
地島産紅あずまのいも甘納豆。
くろだ玄海堂。
中秋の名月。
お土産調達。
同じカテゴリー(和菓子とお茶)の記事
 八百先生の講義を聴く。 (2022-09-30 11:00)
 御菓子司小鹿の流氷まんじゅう。 (2022-09-26 06:45)
 地島産紅あずまのいも甘納豆。 (2022-09-17 12:00)
 くろだ玄海堂。 (2022-09-13 12:30)
 中秋の名月。 (2022-09-10 13:00)
 お土産調達。 (2022-09-10 10:30)

上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。